精神安定剤を処方されるも飲まずに机の中へ(第10話)

薬の錠剤

検査は広場恐怖発動中の私にとってはとても辛くて、逃げたいという思いだけが頭の中を占拠した状態で、約10分のMRI検査に耐えました。ただMRI検査の機械の中で、ベッドの上で横になっていただけなんですけどね(笑)。パニック障害患者にとって、それは悪夢のような状況です。

検査も終了して、いよいよ先生から診断結果を説明してもらう瞬間がやってきました。結論から言いますと、異常なしです。たはは。MRI画像データを提示されながら説明を受けたのですが、腫瘍もなく脳の血管にも異常ありませんと告げられましたが、当方としてはこのまま手ぶらで帰宅するわけにはいきません。

精神安定剤(デパス)と運命的な出会い しかし、なぜか服用せず

先生もそれを察知してか、「緊張したり症状が出た時には、薬を出しておきますので飲んでみてください」と言いながら処方箋を発行してくれました。院内の薬剤科で薬を受け取るとそれは白い錠剤で、「気持ちを落ち着かせるお薬です。頓服してください」と書いてありました。7錠ほどもらった記憶があります。
頓服(とんぷく)とは、症状の出た時に服用するという意味です。そうです、これが私のパニック障害の治療にとても有効であり、また、その副作用から、後に苦しむこととなるデパスとの初の出会いでした。パニック障害やうつ病、統合失調症をご経験の方は、その薬の名前をご存知ではないでしょうか? そうです、精神安定剤デパス0.5ミリ錠です。
しかしですね、私は自分の病気の病名に気づく大きなチャンスをこの大学病院で得たにも関わらず、見事にスルーしてしまうのでした。
まず第一に病院の先生が、薬について詳しく説明しなかったこと。第二に、推測でもよいので精神疾患の可能性があることを、ちょっとでも告げてくれていたら良かったのですが、それが全くなかったこと。
そして第三に、帰宅後インターネットで精神安定剤をウイキペディアで検索したのですが、該当ページの文章の中には神経症やうつ病といった言葉しか記述されていなくて、当時の私は、うつ病のページしか閲覧しなかった記憶があります。
しかし、うつ病のページにある症状の記述内容に、自分の症状に当てはまるものありませんでした。さらに、この精神安定剤は薬の分類上、抗不安薬という名前なのですが、得体の知れない薬という先入観念が強くて、せっかく薬を処方されたのに机の引き出しの中へ仕舞い込んでしまいました。
実は私は、子供の頃に風邪を引いて抗生物質を飲んで、全身じんましんが出たことがありまして、それ以降、処方された薬や売薬などに抵抗があり、普段でも薬を飲むと副作用が怖くて敬遠しがちだったのです。
こうしてこの頃には、教科書通りの典型的な精神疾患パニック障害の症状を発症していたのですが、受診したお医者さんに縁が無かったというか、自分の努力で「パニック障害」という言葉に出会うことが出来なくて、その結果として病名がわからずに原因不明のままで日々を過ごす羽目となったのです。

コメント