体調不良初期 なんとなく(第3話)

春の森林

事務員さんや他の社員さんの反応は、「嫌だなあ支店長(私のこと)、虫の予感ってやつですか?」みたいな感じで、誰も私の変化に気がつくことはありませんでした。自分自身が当時まだ、精神疾患というカテゴリーの病気を発症しつつあるなんて考えたことも無いので、他人が私の変化に気がつくはずはないです。

そして案の定というか、社員の誰かが競馬で損をしたり、パチンコで負けたりして、社員曰く「支店長の悪い予感って当たりますね」なんて、社内で皆で笑ったりしていたのです。そりゃあ、32名もいれば誰かしら不運に見舞われたりもします。

少しずつ体調がおかしくなる生活風景

そんなこんなで平穏に過ごしていたのですが、いつ頃からか、気分転換にシャワーを浴びる回数が増えていきました。職場と自宅が歩いて30秒の距離の為、なんとなく気分がスッキリしない時は会社を出て公園でのんびりとしたり、自宅に戻ってシャワーを浴びたりといった変な行動が少しずつですが、増えていることは自分でもぼんやりと認識はしていました。
ほんとに極めて初期の段階での、このパニック障害という病気には、「なんとなく」と言った言葉が病気の症状に一番マッチします。なんとなくシャワーを浴びたり、なんとなく公園に散歩に行く。まだまだ病気の認識はありません。決して毎日症状が出ることは無く、最初の内は三か月に一回、二か月に一回といった感じで、三か月あれば当然季節も変化する訳でして、前回の症状と今回の症状に共通点があるとは思いもしません。
私は割と体調不良の時にはすぐに病院へ行くタイプの人間なのですが、パニック障害初期の段階では病気という認識すらありませんので、この段階では病院通いはまだ始まっていません。現代は情報化社会なので、当然私もうつ病という病名を知っていましたし、社員にも心療内科へ通っている方もいたので、精神疾患という病気のことは認識はしていました。

18歳の頃、自律神経失調症と診断された事

何を隠そう、私は高校3年生の頃、原因不明のめまいの症状で約2カ月苦しんだ経験があり、その時は脳神経外科でレントゲンを撮ったりして、医者から告げられたことと言えば、「受験を前にして、このような症状がでているんじゃないかなあ」と言われたことがありました。病名的には自律神経失調症というようなことを言われたような記憶があります。
今の20代以下の若い方はあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、自律神経失調症という言葉は、30代以上の世代の方はよく聞かれた方も多いのではないのでしょうか?
一昔前までは原因不明の体調不良の患者が医者にかかると、いろいろと検査した結果、どこにも異常はありませんよとなり、医者から告げられる病名として一般的でした。「あまりクヨクヨせずに、楽観的に過ごしなさい」といった、魔法の言葉の処方箋??を医者から頂いて帰宅された方も多かったと思います。

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