精神安定剤 その1(第43話)

水と錠剤

さて、季節は2008年5月の春です。働かない無職生活にも慣れてきて、いろいろと在職中に出来なかったことをやりたいと考え始めましたが、体調が悪いです。昨年は数週間に一回とか数日に一回の割合で具合が悪いと感じていましたが、今では午前中に一回、午後に一回といった感じで確実に悪化しています。

そうは言っても、今は病名も分かっていますし原因不明の不治の病って事ではありませんから、体調が良い時は冷静に病気に対して接することができます。問題なのは予期不安や広場恐怖が襲ってきた時なのです。どのように対処すればよいのか100%理解していますし、気絶したり発狂したりすることはないのだから落ち着いて対処しようと思うのですが・・・、実際は病名と同様に混乱してパニックを起こしてしまいます。

精神安定剤を一日に複数回利用するようになった経緯

私は在職時に住んでいた市町村の隣の市町村に引っ越しをしました。出来る限り仕事のことを忘れたかったからです。距離にすると約12キロです。そして自宅で一人でいるときに発作が起こると、とても不安になって以前の会社で一緒に働いていたパート社員の主婦の方に電話を掛けて、「今にも恐怖感に襲われそうだから助けてください」と懇願するのです。そうするとその主婦Sさんがバイクで12キロも離れた所から私の団地まで飛んで来てくれるのです。
私はそのSさんが到着するまでの間、精神安定剤を服用する時もありますが、服用を我慢する時もあります。だいたい30分以内に駆けつけてくれるのですが、その時には既に平常心に戻っていることもありますし、発作中の時もあります。一人暮らしをしていると発作が出た時が非常に困るのです。
私がSさんに緊急のお願いをしたのは約30回を超えます。Sさんは介護士の資格を持っているのでヘルパーで働いていた経験があり、精神疾患の知識が多少あるのでとても助かりました。そして、あまりSさんを頼っていても悪いと思い、我慢できない発作が起こりそうだと感じたときは、早めに精神安定剤を服用するようにしたのです。

この点がすっごく重要です。発作や予期不安を嫌って、頓服の精神安定剤を頻繁に頼るようになりました。私の服用している精神安定剤は頓服で使用しますが、私の持っている薬はパニック障害を根治するといったタイプの薬ではないのです。

当時の私は、パニック障害や精神疾患に対してある程度の知識がありましたが、多少聞きかじった程度の知識です。病気発生のメカニズムなどに精通しておらず、安直に精神安定剤に頼り切っていました。そしてその事が、病状を徐々に悪化させていくのです。

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