大学病院で受診(第9話)

MRI画像

ついにやってきました大学病院です。まず最初に受診する科を選ばなくてはなりません。とりあえず症状を受付で説明して「脳外科を希望しています」と告げ、ドキドキしながら脳外科の待合室で静かに順番を待ちます。対応された先生に近況の報告をして、「脳のレントゲンとMRI画像検査をしてみましょう」ということになりました。

高校生の頃に受診した脳外科には、MRIなど設置されていな時代でしたが、さすが大学病院です。最新鋭の設備が整っています。こうなれば、あとは勇気を振り絞って診断を受けるのみです。
心の中で、「悪い病気が見つかっても、それはそれで仕方がないな。今のまま、原因不明で体調が悪いのだけは避けたいからね」と、自分に言い聞かせて順番を待ちました。そして初のMRI開始です。
お医者さんに「かなり大きな音が出ますが気にしないでください」と説明を受け、診察台の上に乗ったまでは良かったのですが、このタイミングで予期不安というか嫌な感じが込み上げてきました。(補足しますと、当時の私はまだ予期不安という言葉を知らずに、例の嫌な感じという感覚でしか症状を伝えることも表現することもできませんでした。)
今振り返ってみると何回もの小発作を経験した為に病状が進行して、予期不安が発生するようになりつつありました。広場恐怖もこの頃から症状をのぞかせるようになり、行動を束縛される状況に置かれると、非常に困ったなと考えるようになり始めていました。この予期不安と広場恐怖はパニック障害を語る上でとても重要な言葉ですので、ちょっと詳しく説明します。

予期不安とは

予期不安とは過去にパニック発作を一度でも経験すると、また発作が発生するのではという恐怖感や発作を恐れる気持から、再びパニック発作を誘発する症状のことを言います。負の連鎖といいますか、パニック発作の経験が予期不安を生み、予期不安がパニック発作を引き起こすの繰り返しとなり、このパターンを経験すればするほど深みにはまっていきます。

広場恐怖とは

過去にパニック発作や予期不安を経験したシチュエーションを嫌うようになります。例えば飛行機の中でパニック発作を経験すると、それ以降は飛行機に搭乗することを拒絶するようになります。「発作が起きた時に逃れられない」という妄想がこの症状の基本なのですが、「レストランは駄目」だとか「映画館は駄目」とかなど、パニック発作や予期不安がなく快適に過ごせる生活領域が次第に狭くなっていき、重度の状態になると外出さえ困難になります。

さて、お話の続きに戻ります

看護師の方に、自分の体調があまり良くないから検査は数時間後を希望すると告げましたが、看護師曰く、「症状が出ている状態中に検査したほうがより正確な診断ができますよ」と言われたので、心の中で「そんなの無理だよ」と思いつつも、人生最大の健康のピンチだし我慢するしかないなと、検査続行を決意しました。

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